コラム

Vol.1 アトピー性皮膚炎について

アトピー性皮膚炎イメージ

アトピー性皮膚炎は遺伝的要因にさまざまな外因(食物、ダニ、ハウスダストなどの住環境、花粉、ストレス、などなど)が加わって発症すると考えられています。このように原因は複雑で、残念ながら決定的な治療法がなく、子供のみならず成人例も増えてきて社会的な問題となっているわけです。ではどのように治療するのでしょうか?

1. 悪い影響のある外因をとりのぞく

食べると湿疹が悪くなる食材を使わないようにするとか、ダニアレルギーの場合は掃除をこまめにするとか、ぐっすり眠ってストレスを溜めないなどケースバイケースでとても大切なことです。しかし外因は複数ですし、すべてをゼロにするのはほとんど不可能です。ですから、完璧にしようと神経質になりすぎないことも大切です。

外因を確かめる検査には血液検査やパッチテストなどがあります。

2. 薬を使って現在の湿疹をおさめる

アトピーの皮疹はほとんどが自分でひっかいてつくってしまったものです。(とくに入浴時や夜間はかゆいです)。ですから、湿疹をひどくしないためにはステロイドや非ステロイドの塗り薬だけでなく、かゆみ止めののみ薬も重要です。のみ薬を継続することによって長い目で見れば、ステロイドの外用剤を節約できることが証明されています。

3. 敏感肌を健康に保つ(スキンケア)

アトピー性皮膚炎イメージ

アトピーの患者さんは一般的に“肌が弱い”といわれます。これは皮膚の水分量が少ないためです。しかも乾燥肌はかゆいのです。お風呂でゴシゴシ擦るのはもってのほかです。石鹸は弱酸性のマイルドなものがよいでしょう。入浴の後は保湿クリーム(医師にご相談下さい)をぬって潤いを保ちましょう。

肝炎や腎炎に急性と慢性があるように、皮膚炎もその経過の長さから急性と慢性に分けられます。アトピーは慢性の皮膚炎の仲間ですから、薬で良くはなりますが、“治る”までの道のりは長いのです。それまで上記1~3を念頭において薬とうまく付き合っていかなければならないのですが、日々の治療の目標として、“ほぼ支障なく日常生活がすごせる”ということのみ考えてください。だってどんな病気だってそのために治療しているわけでしょう?かゆくて仕事や勉強が手につかない、夜も眠れない、というのは治療が不十分もしくは適切でないということになります。

ステロイド外用剤には強いものからマイルドなものまで段階があり、皮膚科専門医の処方によっては安全な薬です。アトピーには特効薬が無いため、本人と家族の根気が必要で、くじけそうになり民間療法に頼る人もいます。すべての民間療法を否定するつもりはありませんが、あたまからステロイドを危ないときめつけたり、またあまりに高価なものは避けるべきでしょう。健康保険できちんとした治療が受けられるのですから、アトピー商法の犠牲にならないように気をつけましょう。