“しみ”と呼ばれる色素斑には実に様々なものが含まれています。美白ブームの中、今回当院で実際におこなっている治療中心に色素斑についてお話しましょう。
コラム
Vol.3 しみの話
どんな治療法があるのでしょうか?
紫外線カット、色素異常は皮膚のメラノサイト(色素細胞)が作るメラニンの量によることが最も多いので、一般に紫外線は大敵となります。まずは気になる色素斑は帽子、日傘、遮光クリームなどで日光をブロックするなど日頃からのケアが必要です。
- 美白クリーム
- コウジ酸やハイドロキノンのクリームは2週間から1ヶ月ほど毎日使用し続けると、徐々にしみの色が薄くなります。根気よく使うことが大切です。ハイドロキノンは塗った後しばらく刺激感のあることがあります。
- ルビーレーザー
- その照射により皮膚に存在するメラニン色素を選択的に変性させることができ、照射後1週間くらいでかさぶたになって色素斑がとれる治療です。指で弾くような程度の痛みなので麻酔も必要ありません。
- ピーリング
- 最近ブームのため耳慣れてきましたね。酸で皮膚に刺激を与え皮膚の新陳代謝をよくしてメラニンを脱落させコラーゲンの産生を促します。2~4週間の間隔で5~6回繰り返します。しみ以外にもニキビや小じわにも有効です。
- 内服薬
- ビタミンCやトラネキサム酸は速効性や大きな効果は期待できません。いずれにしても長く続ける必要があります。
しみの種類と治療法は?
- 雀卵斑(ソバカス)
- 比較的色白の人に多い細かい色素斑で、遺伝傾向があり、早ければ5歳くらいから始まり、思春期頃にははっきりしてきます。ルビーレーザー治療が有効です。通常は、1回の治療でかなり色が薄くなります。
- 肝斑
- 主に30歳以降に頬や額に左右対称にでてくる色素斑で、原因はよくわかっていませんが、ホルモンのアンバランスや不適当な化粧品による場合もあるといわれています。残念ながら肝斑に対してはレーザー治療は効果がありません。ピーリングと美白クリームの組み合わせで治療します。
- 老人性色素斑
- 年をとるに伴って見られる褐色の丸い色素斑のことをいい、いわゆる「しみ」のほとんどがこれです。メラノサイト(色素細胞)増殖することによりでき、“老人性”とはいうものの20歳代で見られる人もいて、30~40代から次第に多くなり、50~60歳代では、ほとんどの人に見られます。日光のよく当たる顔や手の甲などに多く見られ、ルビーレーザー治療が有効です。細かいものが顔全体に広がっている場合は、クリームやピーリングで全体に美白してから目立つものにレーザーを照射する場合もあります。
しみとは違う気になる色素斑について
- 扁平母斑
- 隆起しない淡褐色の色素斑で、時に毛が生えているものもあります。生まれつきのあざの一種ですが、実際には思春期前後にでてくることが多いです。ルビーレーザー治療が有効です。
- 色素性母斑
- いわゆる「黒あざ」で、このうち小さいものが「ほくろ」です。切除したり、電気で焼いたりします。ルビーレーザー治療は可能ですが、深いものほど回数を重ねる必要があります。
- 外傷性異物沈着症
- 鉛筆の芯などが刺さった皮膚の部分に黒い跡がのこりますね。これもレーザーを使ってとります。
- 摩擦黒皮症
- 長年ナイロンタオルやナイロンたわしを使っていた人の腰や鎖骨の上に見られる色素沈着です。原因をとり除くという意味でまずこのようなかたいもので体を洗わないようにすることが大切です。尿素軟膏や美白クリームを使います。